2013/07/21

日本ソムリエ協会セミナー 「ニュージーランド ピノ・ノワールのその背景にあるもの ~地域特性・醸造家~」

日本ソムリエ協会 関東支部 第3回例会セミナー「ニュージーランド ピノ・ノワールのその背景にあるもの ~地域特性・醸造家~」 《6地域のそれぞれのピノ・ノワール8種類をテイスティング》

日時:2013年7月9日(火)14:00~16:00

場所:横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ 5 階 宴会場「日輪」

参加人数:400名くらい?

小山 竜宇 氏
コヤマワイパラワインズ オーナー兼醸造家

楠田 浩之 氏
クスダワインズ オーナー

受付に 中本聡文ソムリエがいてビックリ。
とても素敵な笑顔で迎えてくれました。
なんと、ソムリエ協会関東支部の支部長になっていたんですね。
おめでとうございます。

セミナー開催挨拶での、アイスブレイクのコメントもさすが、でした。

講師は、ニュージーランドでワイン造りをしている日本人のお二人、小山氏と楠田氏。

資料はニュージランドワイングロワーズの作成したもので、ややそれながら話は進みました。

■生産量が少ないのに、世界的に注目されている、ニュージーランドのピノ・ノワール

ニュージーランドのワイン生産量は世界の中で0.5~0.8%。
1%にも満たないのに、伸びてきていて、世界的にも注目されている。
しかもピノ・ノワールは、90年半ばくらいから本格的に栽培が始まっているので、まだ15年くらいの若い産地。
ピノ・ノワールだけでみると、ブルゴーニュが57%、カリフォルニアが27%、ニュージーランドは5%で、世界でも第3位。
ニュージーランドはボルドー系はダメ。北ではシラーに力を入れている。

■輸出に力を入れる、ニュージーランドワイン

ニュージーランドは人口が400万人くらいで、国内マーケットではやっていけない。
輸出に力をいれている。
ブドウ畑は、ほぼ100%サスティナブル。
品質をクリアしないと、輸出が出来ない。
チリやオーストラリアのように量での勝負は出来ないので、品質の高いワインをニュージーランドのブランドにしようとしている。
さらにピノ・ノワールは収穫量が少なく、量を作れないので、さらに価格は高くなる。

■テロワールは天候の影響が大きい

まだ若い木が多いニュージーランドでは、テロワールは土壌の影響よりは天候の影響が大きい。
ブドウの木がもう少し年齢を重ねると、土壌の影響が話題にのぼるのだろう。(楠田氏談)
ニュージーランドは気候の変化が激しい。
夏場でも最低気温がマイナスになって、昼間に30度になる、というようなこともある。
一日の寒暖差が20度くらいある。

紫外線の影響も重要。
日本の林業が進出していて、日本よりも早く育って、品質も良いとのこと。
葡萄の木にも影響があると思われる。

開花から収穫までの期間も他の国の産地よりも1ヶ月くらい長い。

■人の影響

ニュージーランドワインは人の影響も大きい。
パワフル、自由、何でもやる。
ラグビーの強さに通じるものがある。
アラン・ブレディがセントラル・オタゴ(世界最南端の産地)にピノ・ノワールを栽培した時は、変人扱いされた。
でもやりぬく力を持っている。

■ピノ・ノワールのクローン

ディジョン・クローン
113、115、667、777

エーベル・クローン
UCD5(ポマール)

特にエーベルが個性が強く、酸がのり、華やかで、重くなり過ぎない。
マルティンボローでは多くの栽培家が使っている。

■除梗の比率が現在大きなポイントになっている

今までは除梗率が高かったが、梗(こう)をどのくらい残すか、トライアルが始まっている。
梗を残すと、タンニンやスパイシーさが強くなる。
果実味を隠す、長期熟成にはタンニンが必要だが、ブドウのタンニンと梗のタンニンは質が違う。
味わいも変わってくる。
トライアルの結果、梗は残さないという方向になるかもしれない。
ただ梗の比率の問題ではない、どのタイミングで絞るか、というのも重要。

■完熟から早摘みのスタイルに

ニュージーランドのピノ・ノワールは一時期、完熟させすぎて糖度が上がり、アルコール度が15%を超えるものが出てきて、世界的に叩かれた時期がある。
最近は糖度が上がり過ぎないように、早摘みをする傾向がある。

■ビンテージの特徴

2009年は暑かった年で、糖度が上がり、アルコール度が高くなった。
2010年は一般的に良い年と言われている。
2011年、2012年は軽めの年。

■ニュージーランドワインの熟成

あまり古いワインが存在していない。
経済的なこともあり、古いワインを残していない。
ただ、2000年のピノ・ノワールも十分熟成しているものがあるので、期待は出来る。

■補酸の問題

ニュージーランドは補酸を認めている、という事についての質問。
酸味を調整するわけではない、PH値を調整するための補酸である。
醸造初期の段階で、カリウムを取るために入れる。
PH値が重要なのは微生物の動きを調整する意味もある。
SO2の働きも違ってくる。

■各産地の特徴

◇ワイララパ/マルティンボロー
北島(きたじま)の南端。
ピノ・ノワールの歴史が古く、30年の樹齢の木もある。
南向きに開いた谷なので、南からの冷たい風の影響を受けやすい。
94年のコンクールでトロフィーを取って、一気に注目され、そこから数年で銘醸地としての地位を固めていった
コンクールでも上位に必ずランキングされる。

◇ネルソン
分水嶺より西側、さらに北に向いているので、穏やかな気候。

◇マールボロ
分水嶺よりも東側、平坦な谷に畑が広がる。
一部のサブリージョンは、冷涼で乾燥。
ソーヴィニヨン・ブランのイメージがあるが、ピノ・ノワールの生産量は一番多い。

◇カンタベリー/ワイパラ
冷涼で乾燥、斜面が多い産地。
栽培が難しい。
南に向いている他になので、南からの冷たい風の影響を受けやすい。
イギリスの専門誌がワイパラのワインを高く評価するなど、冷涼地として注目されている。

◇セントラル・オタゴ
世界で最も南にあるワイン産地だが、内陸に位置し、意外と暖かい。

■テイスティングワイン

すごいワインが8本。
こんなワインを一気にテイスティング出来る機会はなかなかありません。

1)
アタ・ランギ ピノ・ノワール 2010
Ata Rangi Pinot Noir 2010



2)
クスダ ピノ・ノワール 2010
Kusuda Wines Pinot Noir 2010



3)
ノイドルフ・ヴィンヤーズ ムーテリー ピノ・ノワール 2010
Neudorf Vineyards Moutere Pinot Noir 2010



4)
ドッグ・ポイント・ヴィンヤーズ ピノ・ノワール 2010
Dog Point Vineyards Pinot Noir 2010



5)
フロム・ワイナリー クレイヴィン・ヴィンヤード ピノ・ノワール 2010
Fromm Winery Clayvin Vineyard Pinot Noir 2010



6)
コヤマ・ワイパラ・ワインズ ウィリアムス・ヴィンヤード ピノノワール2009
Koyama Waipara Wines Williams Vinyard Pinot Noir 2009



7)
フェルトン・ロード バノックバーン ピノ・ノワール 2010
Felton Road Bannockburn Pinot Noir 2010



8)
リッポン・ヴィンヤーズ メイチャア ヴァイン ピノノワール 2009
Rippon Vineyard & Wineery Mature Vine Pinot Noir 2009




一番印象に残ったのは、コヤマ・ワイパラ・ワインズ ウィリアムス・ヴィンヤード ピノノワール2009
2009年は暑かった年でアルコール度が高めになった、という事でしたが、それゆえに、しっかりとした印象のあるワインでした。
香水のような華やかな香り、厚みのある、果実感のある味わい、アルコール度もやや高めでした。

次は
1)アタ・ランギ ピノ・ノワール 2010
2)クスダ ピノ・ノワール 2010

この2本、同じワインじゃないの?ってくらい印象が似ていたのですが、香りが独特。
スイカのような、カブトムシのような、青臭い感じの印象なのですが、それが何とも心地よいというか、キレイな印象がありました。
もう一つは
4)ドッグ・ポイント・ヴィンヤーズ ピノ・ノワール 2010
マールボロのピノ・ノワールですが、やや厚みのある味わいで、スパイスやカラメルの印象が特徴的でした。

どのワインも美味しかったですが、共通した印象は、マイルドで飲みやすい口あたり。
とてもフレンドリーな印象が、ブルゴーニュとは違うポイント?

■ニュージーランドの高品質路線は成功するのか?

すでにニュージーランドって高い、という印象があって、ヌーボーも、チリや南アフリカだと1000円程度でも、ニュージーランドだと2000円くらいでもしょうがないか、と思ってしまう、という点ではしっかり根付いていると思います。

でも倍の価格で、飲んだときに満足感を与えられるか、がポイントになるでしょうね。

チリの品質も良くなってきているので、ニュージーランドをわざわざ選ぶシーン、というのがイマイチ思い浮かばないんですよね。

ソーヴィニヨン・ブランはすでに価格競争に巻き込まれている感じがあるけど、ピノ・ノワールはまだ高いレンジを保っていると思います。
ブルゴーニュの10,000円と、ニュージーランドの10,000円が同じ満足感を与えられるか、ここがこれからの課題になるでしょう。

ニュージーランドのワインをどういうシーンで活かせばよいのか、どのような料理に合うのか、というプロモーション提案が必要になるかと思います。
ただ、高品質、サスティナブル、というだけでは消費者は動かないでしょうね。

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