2012/03/26

オレゴンワインセミナー ソムリエ協会関東支部 第1回例会セミナー


ソムリエ協会関東支部の第1回例会セミナーのテーマは「オレゴンのピノ・ノワール」。
日頃あまり飲まないジャンルなので、楽しみにしていました。

ピノ・ノワールの世界3大生産地と言われてる、アメリカ、オレゴン州。

価格も高めで、なかなか口にする事のないオレゴンワイン、さらにそのピノ・ノワールを集中して飲めるというのは嬉しい限り。
まあ、勉強なんですが、こんな勉強は大歓迎です。

■セミナー概要

<協力>
(株)ベイシス・オレゴン州ワイン生産者協会 OWB-Oregon Wine Board-

<開催日>
平成24年3月13日(火)

<時間>
14:00~16:00(受付13:30~)

<会場>
グランドプリンスホテル高輪 地下1階「プリンスルーム」
東京都港区高輪3-13-1

<講師>
オレゴンのワイン生産者 Joe Dobbes氏他
石田 博 氏
(社)日本ソムリエ協会 理事/レストランアイ シェフソムリエ
第10 回世界最優秀ソムリエコンクール 第3位

■ピノ・ノワールのみ7種類テイスティング

オレゴンのピノ・ノワールのみ7種類という、豪華なテイスティングでした。
4つは複数の畑をブレンドしたもの、3つは単一畑のワイン。
ブレンドの特徴、シングル・ヴィンヤードの特徴を味わうというものでした。

■ニューワールドでも「テロワール」を感じられるオレゴン

ニューワールドは「ブドウ品種=ヴァラエタルワイン」というイメージがありましたが、最近ではニューワールドでも「テロワール」を重視している生産地が増えているそうです。

フランスでも、ボルドーよりはブルゴーニュがより「テロワール」の影響が大きいように、アメリカでは、ナパやソノマよりも、オレゴンの方が「テロワール」の影響が大きいと言われています。

■小規模、少量生産で、高品質を保つ

オレゴンのワイナリー数は、アメリカで2番目に多いのですが、生産量はそれほど多くありません。(全米第4位)
小規模、少量生産のワイナリーが多いためです。
メガワイナリーが無いというのは、ニューワールドでは珍しいとのこと。
ピノ・ノワールという繊細な品種で、高品質を保つためには、小規模や家族経営という生産方法が向いていて、サスティナブル農法や、バイオダイナミック農法に取り組んでいる生産者が多いのも特長だそうです。

■異なる畑のブレンドと、単一の畑のシングル・ヴィンヤード

畑ごとに異なる特徴を考慮し、ブレンドする事で、理想的なピノ・ノワール像を追求する事ができる、というのが、ブレンドの良さ。
シングル・ヴィンヤードは、その畑の「テロワール」を表現できるが、ワインメーカーにとってはチャレンジングだそうです。

■オレゴン ピノ・ノワールの、個人的な印象

フルーティで穏やか、フレンドリーな飲み口が特徴でしょうか。
カリフォルニアよりは、フルーティさが落ち着いていて、深みを持っているような気がします。
ブレンドの4品種は、バランスが良くて、誰にでも好まれそうな味わい。
シングル・ヴィンヤードは複雑性、個性、クセがあって、今でも飲めるけど、熟成したら美味しくなりそうな印象でした。
優しくて強い、包容力のある人、みたいな感じ。
ブルゴーニュはもっとわがままで、人を突き放すような感じがありますが、オレゴンはあくまで社交的な印象があります。

■供出されたワイン

Firesteed MV Pinot Noir Bryan Croft
ファイアスティード・ウィラメット・ヴァレー・ピノ・ノワール


<目指した造り>
ウィラメット・ヴァレーのピノ・ノワールのエレガントで熟成する、豊かで十分な果実感、バランス、タンニン、程よいアルコール分を全てもつワイン。
<フレーバー>
チェリー、すぐり、プラム、ブラックベリーの風味、さらにトリュフ、チョコレートの風味も感じられる。
<樽熟成・醗酵>
樽熟成16ヶ月
新樽率20%
小型の発酵槽で、1-3日間自然放置、プレスまで7-12日間、パンチダウン(櫂突き)した。

Adelsheim Elizabeth's Reserve
アーデルスハイム ヴィンヤード ピノ・ノワール エリザベス・リザーブ


<目指した造り>
ヴィンテージと畑を反映した「ベスト・オブ・ワイナリー」ともいうべきリザーブワイン。大半のぶどうにはチェハレム・マウンテン5カ所にある自社畑産、それぞれに土壌、クローン、微小地気候、醗酵槽のサイズ、樽の特徴をもたらす。
<フレーバー>
赤いラズベリー、新鮮なオレゴン産のイチゴ、茶色のスパイスと杉のアロマ。口中ではエレガントでバランスが取れ、タンニンが絹のように滑らかで余韻が長い。
<樽熟成・醗酵>
樽熟成10ヶ月
新樽率30%
手摘みし除梗、開放発酵槽で4-5日間コルド・ソーク(低温浸漬)後、培養酵母を加え、発酵期間(6日)中、日に2-3回、パンチダウン(櫂突き)をした。


Domaine Drouhin Oregon WV Pinot Noir
ドメーヌ・ドルーアン オレゴン ウィラメットバレー ピノ・ノワール

<目指した造り>
目指すのは真のピノそしてオレゴン本来、さらにはドルーアン・スタイル、すなわち、調和、フィネス、余韻の長さが強調されたワイン。
<フレーバー>
クラシックなダンディー・ヒルズ・スタイル、赤い果実の風味を思わせ、チェリー、ブラックチェリー、スパイス、野イバラのような野生ハーブの花を思わせる。
<樽熟成・醗酵>
新樽率20%
短期間のコールドソーク(低温浸漬)、天然酵母で醗酵。


Dobbes Family Estate Griffin's Cuvee
ドブス・ファミリー・エステート グリフィンズ・キュヴェ
<目指した造り>
熟成するワイン、6カ所の畑のさらにロット、樽をブレンド。
<フレーバー>
空気に触れるにつれフランベしたブラックチェリーと夜の大地の香りが強調される。赤いリコリス、熟したチェリーとダークチェリーの風味をもつ。
<樽熟成・醗酵>
樽熟成10ヶ月
新樽率60%
85%除梗、SO2を70ppmを添加、5日間コールドソークを実施。


Rex Hill Jacob-Hart Vineyard 2009
レックス・ヒル ピノ・ノワール ジェイコブ・ハート・ヴィンヤード 2009

<目指した造り>
ビオディナミ農法が、さらにウィラメット・ヴァレー内にみられる各種土壌が混在する畑の土壌特性が複雑で豊かな風味をもたらす。豊かでみずみずしく、2009年の力強く凝縮し熟したタンニンを感じさせる。余韻の長さに熟成の可能性を感じさせる。
<フレーバー>
プラム、濡れた石、黒スグリ、ブラックチェリー、オーク、シナモンのアロマ、さらにブルーベリー、大地、トリュフ、杉、つぶした胡椒、鉛筆の削りくず、野鳥の風味が現れる。
<樽熟成・醗酵>
樽熟成11ヶ月
新樽率55%
野生酵母で醗酵、SO2は最小限使用。オーク製開放槽で7-10日間コールドソーク、発酵中は日に1-3回パンチダウン。醗酵温度は摂氏31-33度。


Sokol Blosser Estate Cuvee 2009
ソーコル・ブロッサー エステート・キュヴェ ピノ・ノワール 2009

<目指した造り>
その年最上の樽を基にしたユニークなブレンドがエステート・キュヴェ。角が取れ調和し熟成するピノ・ノワールをつくるため、注意深く試飲し、際立った味わいとアロマをもった樽を選びだす。
<フレーバー>
ジョリー土壌の風味と香り、大地、チェリー、コーラ、モカ、ラズベリー。
<樽熟成・醗酵>
樽熟成16ヶ月
新樽率50&、1年樽50%
1ないし3トン容量の開放槽で9日間、日に2回パンチダウン。醗酵前2日間、発酵後は23日間、果帽浸漬し、合計34日間発酵槽においた。発酵時の最高温度は27.8度。


St.Innocent Shea Vineyaed 2009
セント・イノセント ピノ・ノワール シェイ・ヴィンヤード 2009

<目指した造り>
シア・ヴィンヤードは、とてもクラシックなスタイルのピノ・ノワールを育み、エレガントで素晴らしい酸、バランスの取れた風味、凝縮した果実味をもつ。さらに畑の環境を反映した微妙な風味をもつ。常に当社でもっとも複雑で味わいの重なりがあるピノ・ノワール。
<フレーバー>
深い赤い果実の香りがあり、甘い花の香りが際立つ。わずかにカラメルの香りも。口中では熟した果実の風味が豊かで、甘いスパイス、夏の花、わずかに赤いドライフラワーが後に続く。
<樽熟成・醗酵>
樽熟成16ヶ月
新樽率32%
収穫時SO2は添加せずコールドソークもしていない。発酵槽で12日間、日に1-2回パンチダウン、0.9気圧で軽くプレス。3日間静置しオリを下げ樽に移す。自然に任せた乳酸発酵後、最初のSO2を添加し、瓶詰時までフリーSO2を20-35ppmに保つようにした。




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